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[Art News Liminality]明治神宮の静かな100年祭―「神宮の杜芸術祝祭」と宝物の間から(その2)

[Art News Liminality]明治神宮の静かな100年祭―「神宮の杜芸術祝祭」と宝物の間から(その2)

 明治神宮の静かな100年祭―「神宮の杜芸術祝祭」と宝物の間から(その1)の続き。

《八咫烏》(天明屋 尚)
《Mirage#50》(能條雅由)
《メディウム#14》(川久保ジョイ)[←]/《ほうき》(杉戸 洋)[→]

 コンセプチュアルなフレームの解釈とともに構成される黄金の屏風《八咫烏》(天明屋 尚)や森の風景に人々の集いへの想いを白銀/緑青とポジティブ/ネガティブの反転とともに示す二幅対の衝立《Mirage#50》(能篠雅由)は、世界の美の歴史が明治神宮へと流れ着いていることさえ想わせるだろう。伊豆半島西部から眺める富士山の軸装《メディウム#14》(川久保ジョイ)や明治神宮の箒跡をモチーフにしたという軸装《ほうき》(杉戸 洋)は、山水画や禅画へのオマージュとして見ることもできた。

 どこまでも広い空のもとに茂る青々とした木々と作品群。本来であれば、東京2020の祝祭的な雰囲気のなかで宝物館に展示される由緒ある工芸品とともに見られるはずであった本展は、観覧客の少ない空間で何かを語りかけてくるかのようだった。その静かな時間のなかで、来場者は明治から今日に続く美の歴史の歩みを、あるいは明治期の芸術家と画商と為政者、そして観覧客の面影を見たかもしれない。その面影は何を語っていただろう。西洋文化への理想だろうか、伝統文化への憧憬だろうか、それとも未来への希望だろうか?

文化庁・日本博事業 関連掲示

いそのかみ 古きためしをたづねつつ 新しき世の こともさだめむ ― 明治天皇御歌

へだてなく いつつの国に 交わるも 心のまこと ひとつなりけり ― 昭憲皇太后御歌

 1912(明治45)年の明治天皇崩御を受けて造営の機運が高まった「永遠の杜」は、国内外の各地から献木が集まってできたものだという[2]。本展は縄文から現代まで続く「日本の美」をコンセプトとした文化庁・日本博事業の一環として開催されたものだ。歴史は繰り返される。蒼生。青人草(あおひとぐさ)は今日、どこへ向かおうとしているのだろうか?

 COVID-19による前代未聞のパンデミックによりオリンピックが開催されなかった仮想世界のような東京。もう一つの東京2020の最中、現代日本の国家システムとアート・ワールドのことを考えることなく、想う。

(文・写真:F.アツミ)

神宮の杜芸術祝祭
https://jingu-artfest.jp/
参考)
1)國學院大學.万葉神事語辞典
http://k-amc.kokugakuin.ac.jp/DM/detail.do?class_name=col_dsg&data_id=68177 (accessed 2020.10.10)
2)Google Arts Culture.明治神宮の杜
https://artsandculture.google.com/exhibit/9AKyBdB88HOILQ?hl=ja (accessed 2020.10.10)

ブログその1を見る→ http://www.japan-live-exhibits.com/blog006/

F. Atsumi
編集・批評
アート発のカルチャー誌『Repli(ルプリ)』を中心に活動。これまでに、『デリケート・モンスター』(Repli Vol.01)、『colors 桜色/緑光浴』(Repli Vol.02)などを出版。また、展示やイベントなどのキュレーションで、『春の色』(2013年)、『十字縛り キャッチ・アンド・リリース』(2013年)、『テロ現場を歩く』(2014年)などに携わる。アート、哲学、社会の視点から、多様なコミュニケーション一般のあり方を探求している。https://www.art-phil.com/https://trip-tour.art-phil.com/art-tourism/

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