[Aohitokun's Thoughts]現代アートはなぜ高い値がつくのか?
写真:ベネチアビエンナーレ アメリカ館 マーク・ブラッドフォード 2017年 撮影:筆者自撮り
現代美術は、ヨーロッパとアメリカには大きな市場がある。
そこに中国も加わり年間6兆円近い市場になっているといいます。
アート・バーゼルとUBSグローバルアートマーケットのレポートでは、2019年は、年間約6兆7000億円(641億ドル)の取引があったという。
内訳は、アメリカ44%、イギリス20%、中国18%だそう。この中には、骨董も含まれています。
参考サイト:PRESS RELEASE BASEL | MARCH 5 | 2020(UBS)https://www.artbasel.com/stories/art-market-report-1
日本に目を向けると、美術手帖のコラムでは、3590億円だそうです。
美術品市場は、2580億円、現代美術は、391億円。
参考サイト:2019年のアート産業規模は3590億円に。美術品市場は2580億円で4.9パーセント増(美術手帖 2020.3.13)https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/21507
この数字をどう捉えるかはやめときます。
世界に目をむけると、村上隆、奈良美智、草間弥生、杉本博司の作品もオークションに出て、1点1億円を超えることがありました。
写真でも、アンドレアス・グルスキー、トーマス・シュトゥルート、リチャード・プリンスという写真家の作品は3億円で落札されています。
以前、ZOZOの前澤友作代表が、バスキアの絵を123億円で落札して話題になったこともありました。
参考サイト:ZOZO前澤氏123億円購入作品も!「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」(朝日新聞デジタル 2019.9.9)https://www.asahi.com/and_w/20190909/752155/
そういえば、バブル時代には、ゴッホやルノアールのいい絵がずいぶん日本人によって落札されたのを覚えている人もいると思います。
なぜこんなに高価になるのでしょうか。
年収300万円以下で暮らす自分にとって想像できるはずがありません。
1億円あったら死んじゃいます。
哀しい話はさておき、
アートが好きなお金持ちが好きな作品を買おうとするからだ。
アートに興味がなくても、投資目的だから。
・・・ということはわかる。
また家は大きいし壁はいっぱいあるし自由に釘を打てるし。
また小学校の時から近くの美術館へ行って先生が実物を前に教え感想を言い合う。
それを現代美術作品でもやる。
実際、ヨーロッパに行ったとき、そういう場面に出会すことはよくありました。
日本では、ありえない。
まず先生自体、現代美術を説明できない。
できる先生もいるでしょうけど、現代美術は、思想、哲学、政治と密着していることが多い。
あえていうなら、思想、哲学、政治に絡んでいないと、むしろ作品として認められない。
なにせスポーツ選手やミュージシャンが政治的発言したとたん、炎上する社会です。
そんな中で、先生が生徒に作品を説明することができるでしょうか?
ところで自分がヨーロッパに長く生活した経験から、この差は宗教に関係するのではないだろうか、とまず思いました。
中世、キリスト教が台頭すると教会が建てられ信者が集まる。
そのころの一般市民は文字など読めない。
だから絵画やステンドグラスで教える。
かたや日本は、中世くらいから識字率は世界でもトップクラスだったそうです。
当時、日本にきていた宣教師などは日本人の優秀さに驚いて報告しているくらいです。
西洋の人たちは長年、絵をみながら育った。
日本では、襖絵や掛け軸くらいでしょう。それに今残っている日本の絵画は、一般庶民がまったくふれることのできない場所にあった。
ほんの一部の権力者と僧侶以外、絵などにはほとんど触れることができなかった。
やっと室町時代くらいからおとぎ草紙や、江戸に入って錦絵などが庶民にも手に入りようになったがそれはあくまでも小さな紙です。
西洋文明は貴族や権力者には立派な絵画があり、貧民にすら身近に教会のフレスコ画や彫刻があった。
その差は大きいと思う。
もちろん日本でもお寺にいけば仏像はあったと思います。
以前、お花を一回だけ習いに行ったとき、バリバリ右の華道の師匠が言っていました。
日本古来の神道は万物に神が宿るというが、宿っているのではなく、そこに舞い降りるのだという。
たとえば十五夜。
お月見団子にススキの穂。
それは神がススキの穂に降臨するから供えるのだという。
神社のご神木もそう。
神が宿っているのではなく、そこがこの世の神の宿泊施設になるのだそうです。
庶民もお守りや神棚と言って神が舞い降りる場所を提供・携帯する。
だから逆に日本には焼き物やお守りなど小さな工芸品が親しまれます。
今のフィギアや骨董品などのコレクターに繋がっていると思います。
と、つらつら書いたが、(ここまで耐えて読んでくれた方に感謝です)
実は、アートの価値をあげている理由は、ヨーロッパ・キリスト教的世界での人間中心主義?ではないかと思っているのです。
世界は神が作って、人はその一部です。その神は、古代エジプト文明のような、ヒンズー教のような動物の姿もしていません。
人は神の身を真似てできたのです。
自然も神が作ったのです。
だからこの世では、それは人間が、つまり私自身が一番偉いのです。
日本では古来、神と人は別物です。
人間は、青人草から生まれています。
人間は神の化身ではありません。雑草です。
西洋キリスト教、ユダヤ教的世界では、だからこそ人間が新たな世界を作り出す、生み出すことにとても価値を置き、評価を与えられるのではないでしょうか?
科学も哲学も、アートも人間の英知の結果であり、新しい地平の開拓です。人間の能力の進化です。
それは神が、「私」にあたえたもうた能力をちゃんと使っていると、神を敬うことに通じるからではないでしょうか?
日本で現代美術がなかなか認知されないのは、また市場が大きくならないのは、そういう背景があるからだと妄想するのです。
ここで言えるのは、だったら日本は日本なりの現代美術でいいじゃん、キリスト教のマネなんてしなくていいじゃん、という考え方です。
でも思うのは、いい絵はもっと売れて、そのアーティストたちももっと裕福になって、いい作品をたくさん描いて、長く続けることができるようになってほしいのです。
ちなみに自分がこのサイトの準備のためにギャラリーや美術館のデータを集めているとき、びっくりするようなクオリティの高い絵に、たびたび出くわして驚かされました。
まだ若かったり、ベテランでもまったく無名だったり。
なんでこんな素晴らしい作品を作りながら、おそらく貸し画廊で、1週間だけしか展示できないのか?と。
とくに少子化が叫ばれる昨今、結婚して子供ができても絵を描き続けられるでしょうか?
このサイトを作るもう一つの動機は、もっといい作品がたくさんの人の目に触れて欲しいという思いがあったからでした。
とにかく興味を持つ人が増えれば、少しはよくなるはずです!
早く英語版もリリースして、朝起きたらビックアーティスト!ってなればサイコーですね。
みなさん、ご支援、フォローよろしくお願いします!
※以上ブログの内容はあくまでも個人的見解ですのでご了承ください。by あおひと君
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